革鞄、革財布のお手入れ方法~擦り傷~

本日は前回の爪傷より少し深めの傷の手直し方法です。手で触ると少し凸凹感が分かる位の傷を目立たなくするお手入れ方法を実践していきたいと思います。今回はご自宅にある「アイロン」を使用していきます。火傷など十分に気を付けて行ってください。

出来るだけ長く革製品とお過ごしいただけるために。

擦って出来た傷


どこかの角にぶつけてしまったのか、少し鋭利な傷です。この傷を目立たなくさせていきたいと思います。

アイロンを使う

まず「低温(写真のアイロンの様に低温よりさらに低い温度に設定できる場合は一番低い温度に設定してください)」に設定し電源を付けます。その後、温度が安定したら一度電源を切ります。(付けた状態で使用すると温度が上がりすぎることがあるからです。)そして、電源を切ってから1~2分後「余熱」で手直しを開始します。

アイロンのかけ方

まずは目立たないところで試してから行ってください。革の種類によって温度が合わない場合もあるからです。今回はなないろかばんの「植物タンニンのヌメ革」を使用しています。
1.傷の周辺を摘み、傷の部分を持ち上げます。
2.アイロンの「面」を使うのではなく、「角」に近いところを使用します。そうすることで革との接触する面を減らし、余分なところにアイロンが当たらなくなります。
3.傷が付いた方向の「反対方向」から逆立った面を戻すようなイメージで「軽く」、「小刻みに」アイロンを当てていきます。(力を入れすぎるとその部分だけ色が濃くなってしまうことがあるので、一回目は優しくサッと当ててみてください。
4.様子を見ながら何回かアイロンを当てます。指で触って逆立った面が滑らかになったら、その周辺も軽く当てます。*この時はアイロンの「面」を使い、傷部分にかけた時より、さらに軽く馴染ませるようにアイロンを当てます。


傷が付いた方向の「反対方向」からアイロンを当てます


アイロンの先や角を使用する

アイロン後

少し傷が目立たなくなりました。

仕上げ

アイロンを当てたことで革が少し熱を持った状態なので、クリームなど何も付けずに指で「軽く」擦って馴染ませる程度にしましょう。その際、傷部分だけなくその周辺も擦ると革全体が落ち着きます。また、熱を持っている時にクリームなどを付けると、その部分だけ濃くなることがあります。もしクリームなどを付けるようでしたら、時間をおいて冷えた後に付けるのをお勧めします。

今回の方法は完全に傷を消す方法ではなく、あくまでも目立たなくさせる方法です。
また、全ての革に合う方法ではありません。革の種類によって仕上がりに違いがあるかもしれません。もしお悩みの際は何なりとご相談下さいませ。

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