革鞄、革財布のお手入れ方法~コバの補修~

本日は鞄や財布の「コバ補修」についてお話したいと思います。
まず「コバ」についてご説明致します。コバというのは革を張り合わせ縫った端(エッジともいう)を保護する”保護剤”で、切りっぱなしの状態ですと革の床面(銀面と呼ばれる表面の裏側の面)がむき出しの状態のため、外からのダメージを受けやすく、劣化を早めてしまいます。そんな端を保護するのが「コバ」です。コバはお使いになられる間に、次第に劣化し弱くなっていきます。特に多くみられる箇所は「持ち手」と「底の周辺」。持ち手は一番触れる箇所なのでコバがすり減りやすいですね。また底の周辺も荷物が入ると負荷が掛かりますし、置いたり持ち上げたりする動作が劣化に繋がりやすいです。しかし、意外とそのままにしがちなところ。どうしたらいいか分からずそのまま使いがちですよね。本日は、長くお使いになられて弱くなってきたコバの補修方法をなないろかばん式でご紹介させていただきます。実はコバを綺麗にすると鞄が・・・。

出来るだけ長く革製品とお過ごしいただけるために。


今回手直しする鞄の脇の底部分です。床面が見えてしまっています。

コバの種類

コバには様々な種類がございます。1.フィルム系、2.液体の顔料系、3.染料やCMC(糊)、蜜ろう等で仕上げしたもの、など様々です。1.フィルム系はソフトな仕上がりが特徴で、ふっくらとした印象です。ただ、一ヶ所が剥がれてしまうとそこから全体がペリっと剥がれてしまうことがよくあります。2.液体の顔料系はしっかりとエッジを保護することが出来ます。カラーも豊富です。少し手触りが固く感じることもあります。3.染料やCMC(糊)、蜜ろう等で仕上げしたコバの最大の特徴は「植物タンニンなめしの革(クロムなどの化学物質を一切含まない製法で鞣した(なめした。革を作ること)ヌメ革のこと)」にしか出来ない仕上げ方法だということです。CMC(糊)や蜜ろうなどはヌメ革ととても相性が良く、天然皮革の持つ性質を活かす仕上げ方法です。とても自然な仕上がりで手触りも優しく、何度お修理をしても手直した感が少ないので長くお使いいただくためにはお勧めの方法です。なないろかばんが仕上げている方法です。


1.フィルム系


2.液体の顔料系


3.染料やCMC(糊)、蜜ろう等で仕上げしたもの

実際の修理工程(ヌメ革の場合)

1.紙ヤスリで削り、エッジを平らにする
2.染料を塗る
3.CMC(糊)をエッジに塗る
4.布で擦る
5.木の棒で磨く
6.3~5の行程を何度が繰り返し行います。指や手全体で確認しながら心地よく感じられるまで丹念に磨きます。
7.きれいになったら、エッジに蜜ろうを塗り、指や布を使って塗り込みます。


紙ヤスリ

染料

CMC(糊)



木の棒

蜜ろう

蘇った?

気がしませんか?手直しする前と後では、見た目の印象がとても変わったと思います。実は見た目だけでなく革の保護、耐久性にも繋がります。


手直し前


手直し後

コバはご使用になられていくうちに、段々とダメージを受けますが、コバが綺麗に整えられているとしっかりと形が整い、商品が良く見える大切なパーツでもあります。

長く綺麗にお使い頂けるようにお手入れはいかがですか。お出かけもきっと楽しくなるはず!

そして、最後までお読みになっていただきありがとうございます。

もし、なないろかばんにご興味をお持ちいただけたなら、下のボタンよりご覧ください。

ありがとうございました。

「なないろかばんについて」はこちら

広告左
広告右

関連記事一覧