革鞄、革財布のお手入れ方法~傷の補修~
銀面(革の表面)が削れてしまった時のお手入れ方法(傷直し)をご紹介させて頂きたいと思います。
どこかにぶつけたりなどして、銀面が削れてしまうことがあるかと思います。今までご紹介させて頂きました方法は銀面がまだ残っている場合の方法ですが、今回の方法は銀面が削れて無くなってしまった場合の手直し方法です。こうなってしまうと、染料を塗っても革の中に染み込んでいってしまうばかりで銀面(表面)には色が付かず、銀面下の色(例えばベースの生成り色)が見えてしまいます。この場合には「顔料」の補修剤を使用して、傷を塗装し隠す手直しをします。
では早速手直ししていきましょう。
出来るだけ長く革製品とお過ごしいただけるために。
銀面の削れ
指で触ったときザラつき、下の組織が見えてしまっているのが分かります。
使用する道具
・市販の補修剤(今回使用したのはこちら)
・パテ(私は持っていないので、割り箸を平らに削って使用しています)
・白い紙(補修剤を乗せるので、下に染み込まないようにする為に、厚みがあるものか、薄いコピー用紙であれば折り畳んで使えばOKです)
・紙ヤスリ(凹凸があるほど深い傷の時に必要になります。おすすめの紙ヤスリの番号280)
・ティッシュ
・レザートリートメント(今回使用したのはこちら)
カッターで先を鋭角にカットした状態です。カッターをご使用の際はお気を付けください。
色を混ぜる
お持ちのお鞄やお財布の色に合わせて色を調合します。絵の具を混ぜる感覚で行っていきます。この時、白い紙を使うことで色が確認しやすくなりますね。
混ぜた色を割り箸の先に取り、革の近くへ持っていき色を照らし合わせます。とはいうものの、なかなか全く一緒の色を出すのは大変です。ポイントとしては、革の色より濃いめを塗ることです。濃い方が、銀面が削れたイメージが軽減されますが、薄い色だと何となく削れたイメージが消えない様に感じられるからです。
色を確認します。
色を塗る
傷の部分の大きさに合わせて塗料を割り箸の先に取ります。取る量の目安は傷の大きさの半分の量を取ります。そして2回~3回に分けて色を塗りましょう。そうすることで付け過ぎを防止出来ますし、万が一色が全く合っていないとき、拭き取りがしやすくなるからです。ポイントは傷の部分と銀面のある部分が同じ厚みになるように塗ることです。割り箸の先の平らなところを上手く利用して革に押し当てて塗りましょう。
もしはみ出て銀面に付いてしまったらすぐにティッシュなどで拭き取りましょう。基本的には銀面には補修剤は定着しにくいですが、時間を置くとしっかり付いてしまうのでお気をつけ下さい。
余分な補修剤をティッシュで拭き取ります。
傷が凸凹している場合
凸凹しているほど深い傷の場合は紙ヤスリを使用し、傷を滑らかにしてから色を塗ります。その際、もし傷が深く、小さい場合は少し広めにヤスリをかけて傷と銀面がなだらかになりやすいようにします。そうすると色を塗ったときに自然に見えやすくなります。
仕上げ
塗り終えたら2~3分乾かし、傷部分とその周辺全体にレザーワックスやクリームを塗ります。私のおすすめは蜜ロウとホホバ油の入ったレザートリートメントです。こちらは革の表面を保護し、弱撥水効果と艶出しにも効果的です。
傷が目立たなくなりました。
補修した所が分かりにくくなり、さらに全体に艶が出ました。
今回の手直し方法は普段お使い頂いていてどうしても付いてしまった小さい傷を出来るだけ容易に隠す方法をご説明させて頂きました。
もう少し広範囲に付いてしまった大きな傷は周辺の革の質感と大きく差が出てしまうのでお気をつけ下さい。
ちょっとした傷も手直しすることでまた気持ちよくお持ち頂けるようになると思います。宜しければお試し下さい。何か不安な点がございましたらご相談下さい。
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ありがとうございました。