手縫いの革鞄・財布の魅力~糸について~
手縫いの鞄や財布の魅力の一つである、「糸」についてお話させていただきたいと思います。
手縫いとミシンの大きく違う点の一つでもあると思います。
ただ手で縫うか、ミシンで縫うかだけの違いではなく、素材や手法などもっと深いところまで皆様にお伝えします。
そして「なないろかばん」のことを少しでも知っていただけたら幸いです。
種類
私が使用するのは「麻」です。市場には麻以外にもナイロンなどございますが、やはり自然素材ならではの質感が革にはとても合いますし、商品をもっと魅力あるものにしてくれると私は考えています。また、使用する麻は国産です。出来るだけ素材も国産のものを使用して商品を作っていきたいと考えています。
下準備
糸はそのまま使用するのではなく、「蜜蝋(みつろう)」というもので糸に強度を持たせます。何十回も糸に当てて、しっかり全体に馴染ませ、糸にザラつきが無くなるまで、そして糸が自立するまでしっかりと仕上げていきます。
そうすることで表面がコーティングされ、強く、張りが出て切れにくくなります。
一本で
ミシンとは違い、手縫いは「一本」で縫います。しっかりと蜜蝋を馴染ませた糸の両端に針を付けます。
これで準備が整いました。
交差して
先に空けた穴に交差しながら縫っていきます。
そうすることで、一か所が切れても交差させたもう一方の糸がしっかり縫われているためスルッと抜けてくることがありません。また、穴に通し、両手で締める際、革の厚みや柔らかさに考慮して引っ張るため手加減が出来、その商品に合わせた縫製が可能です。
そして「お修理」に関しても利点があります。縫いながら穴を空けるのではく、先に穴を空けたところに通していくので、長年使用して糸の交換が必要になった時、外してまた新しいものを通すことが容易になります。すり減って交換が必要になった際は、ご遠慮なく修理をご依頼ください。
仕上げ
端まで進めたら、最後は返し縫、もしくは縫い始めたところに3目重なるようにします。こうすることでほつれにくくなり、さらにはお洋服などへの引っ掛かりの防止にもなります。そして、ギリギリのところでハサミで切ります。切った後、さらに蜜蝋を付けてより収まりが良くなるようにします。(これは私が気になるのでやっていることです・・・。)
最終仕上げはハンマーや細かいところは木の棒などで上から叩いたりして押さえます。そのままですと、何かの拍子で引っ掛かりホツレを起こしてしまう可能性があるのでしっかり押さえていきます。
これで縫製は完了です。
手仕事ならではの丈夫さや温かみ。
長くご使用いただくための修理のし易さ。
様々な魅力がいっぱいです。
最後までお読みになっていただきありがとうございます。
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ありがとうございました。